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東京地方裁判所 昭和61年(ワ)14099号 判決

主文

一  東京地方裁判所が同庁昭和六一年(リ)第一三七八号配当事件について昭和六一年一〇月二九日の配当期日に作成した配当表中、「城東建販株式会社に対する交付額八八四万五五四二円」とある部分を「東信建材株式会社に対する交付額八八四万五五四二円」と変更する。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  原告

主文と同旨

二  被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、訴訟静和産業株式会社(以下「訴外会社」という。)に対し、昭和六〇年九月一二日から同年一〇月四日までの間に、別紙売買代金目録(1)のとおり生コンクリート合計二二五・五立方メートルを代金合計一七七万一三〇〇円で、同年一〇月九日から同月二九日までの間に、別紙売買代金目録(2)のとおり生コンクリート合計一三〇五・五立方メートルを代金合計一一八〇万五四二五円で、同年一〇月二一日別紙売買代金目録(3)のとおり生コンクリート合計三五立方メートルを代金合計四一万四七五〇円で、それぞれ売り渡した。

2  訴外会社は、訴外株式会社日創(以下「日創」という。)に対し、右1と同じ期間内に右1の生コンクリートを代金合計一四二二万六三七五円で売り渡した。

3  原告は、東京地方裁判所に対し、訴外会社の日創に対する右売買代金債権中一三九九万一四七五円について動産売買の先取特権に基づく物上代位権行使による債権差押及び転付命令を申し立て、東京高等裁判所は、昭和六二年三月四日右命令を発し、その命令正本は、債務者である訴外会社に対しては昭和六二年四月一二日、第三債務者である日創に対しては同年三月六日、それぞれ送達された。

4  東京地方裁判所は、債権者原告及び被告に関する同庁昭和六一年(リ)第一三七八号配当事件について、昭和六一年一〇月二九日の配当期日に、原告の請求債権額一三九九万一四七五円に対し交付額を三九三万五七四一円と、被告の請求債権額三一四四万五七一三円に対し交付額を八八四万五五四二円とする配当表を作成し、原告は被告に対する配当に異議を述べた。

5  原告の債権は先取特権に基づくものであるから、一般債権に優先する。

よって、配当表中、被告に対する配当額を取り消し、これを原告に配当する旨の新たな配当表の作成を求める。

二  請求原因に対する認否及び被告の主張

1  請求原因1ないし3の事実は知らない。同4の事実は認める。同5は争う。

2  被告は、訴外会社に対し、昭和六〇年五月二二日から同年六月二〇日までの間に生コンクリート七四五万七八〇〇円相当と砂・砂利等一万六〇〇〇円相当、同年六月二一日から同年七月二〇日までの間に生コンクリート七一〇万二九二五円相当と砂・砂利等五万八〇〇〇円相当、同年七月二一日から同年八月二〇日までの間に生コンクリート六六六万八三二五円相当と砂・砂利等一六万二六五〇円相当、同年八月二一日から同年九月二〇日までの間に生コンクリート九一六万三九七五円相当、同年九月二一日から同年一〇月二〇日までの間に生コンクリート三四二万六九〇〇円相当、同年一〇月二一日から同年一一月二日までの間に生コンクリート一一万六一〇〇円相当をそれぞれ売り渡した。

被告は、右代金債権中の残額三〇八〇万九〇七五円について、昭和六一年六月一四日、債務名義を得、これに基づき訴外会社が日創に対して有する売掛代金債権について差押命令を得た。

3  仮に原告がその主張する内容の先取特権を有するとしても、原告は被告の債権に優先して弁済を受けることはできない。

本件配当事件は、原告が発布を受けた債権仮差押命令及び被告が発布を受けた債権差押命令の競合を理由として、第三債務者である日創が、昭和六一年九月一一日、一二七八万二六七三円を供託し、その旨事情届を提出したことにより係属したものである。

ところで、動産先取特権に基づく物上代位権を行使するためには、民法三〇四条一項但書により差押えを必要とするが、原告は、訴外会社に対する売掛金債権に基づき物上代位の目的たる訴外会社の日創に対する売掛金債権を仮差押えしたものにすぎないから、先取特権を行使したものとはいえない。

また、原告は、被告が申し立てた債権差押及び転付命令事件において、配当要求の終期までに担保権を証する文書を提出し、先取特権に基づく配当要求をすることをしていない。かかる場合は、民事執行法一三九条、一四三条、一五四条及び一六五条等の規定に鑑み、優先弁済を受けることができないものと解すべきである。

三  被告の主張に対する認否

被告の主張中2の事実は認める。

第三  証拠(省略)

別紙

〈省略〉

〈省略〉

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